君が嫌い
俺たち、正確には彼女に気付くや否や店員さん全員に出迎えられ席へと案内された。


本当は特別席の予定だったらしいけど、予約時間に大幅に遅れてしまい座ることが出来なくなったとか。


それでも予約時間に遅れたのに普通に通してもらえた。


すれ違う店員さん達が俺の事を見ているような気がしたけど、多分場所に気後れした俺の気のせいだろう。


席へ着くと、次から次へと名前も聞いたことのない料理名の品が運ばれてくる。


1番好きな食べ物がお母さんが作る野菜炒めな俺だが、前菜ですら野菜炒めが味の無くなったガムのように思えるくらいだった。
ただの水ですら他の水とは違って、waterだった。


メインディッシュは……何も言えない。
あの味を表現するには俺の脳では足りない。
要するに美味すぎた。


そして気が付いた。
俺が相手にしていた彼女が一般ピーポーじゃなくて、本物のお金持ちお嬢様であることを。

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