君が嫌い

友達になろうと伝えようとしたところに不意に男性がお嬢様に声をかける。


見た目と言動から判断してここの責任者の人だろう。
その人もまたどこか気品のある雰囲気を醸し出している。


そういえばこの人の名前絵梨花って言うのか。
ずっとまどかちゃんが実名だとばかり思っていた。


『あら、磯部。今日の料理もどれも絶品で美味しかったわ。また料理の腕を上げたようね。』


『絵梨花お嬢様とは幼少の頃からの付き合いですからね。お嬢様のお口に合う料理を提供するのが私の至福なのです。』


こうやって一見ただの挨拶に見えるけど、そもそも責任者が直接挨拶に来るなんて事ないよな。


どんだけお金持ちの令嬢なんだこの人は。
そして改めて自分が場違いな存在だと痛感させられた。


『では引き続きデザートの方をお持ち致しますね。……そちらにいる男性は。』