君が嫌い
俺の方に視線を移し何やら探りを入れてくる。
その目はまるでゴミでも見ているような目を向けられる。
その視線が酷く冷たく、恐怖心が芽生えそうだった。


『ああ、紹介するわね。彼は勝也、私の友達なの。』


お嬢様の言葉を聞くと、少しの間を空けて責任者さんが口を開く。


『ああ、新しいおもちゃって事ですね。お嬢様が何故お前のような貧相な人間をここに連れてくるか分かるか?お前に身分の差を思い知らせるためだ。お嬢様がお前みたいな人間と本気で友達だと思うとでも思ったか?せいぜい捨てられないように可愛がってもらえ。それではお嬢様、失礼いたします。』


そう言った彼は自身の持ち場へと戻っていった。


これだけ静かな場所だ。
周りにも話し声が漏れていたらしく薄ら笑いを浮かべている人や憐憫なまなざしを送る人がいるのが目に入った。


この人たちの顔、どこかで……。


そんな事今はどうでもいいか。
やっと彼女が俺にしたかった真意が分かったんだから。

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