君が嫌い
何故彼女が落ち込んでいるのかは分からない。
ただいくらバカな俺でもお金の話じゃないことくらい理解している。


『その……今日はいきなり来てごめんなさい。本当は来るべきじゃないって分かってたんだけど、どうしても勝也に謝りたくて……。先日の件、勝也を傷つけるような事をしてごめんなさい。』


『はぁ……。』


正直何言ってるか分からなかった。


確かにこの人の態度は気に入らなかった。


だけど傷ついてなかったし、それなら俺よりも彼女の方が自分のプライドが傷つけられたのではないのだろうか?


『それとこれ……。』


『これは?』


彼女が俺に手渡したものは1万円札。


『この間置いて帰っちゃったでしょ。だから返そうと思って。』


『あ、ありがとう。』


俺が無くしていたと思われていた1万円はどうやら彼女といた時に無くしていたらしい。

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