君が嫌い
席に着き改めて2人で乾杯する。


『よかったー。勝也に嫌われちゃったと思ったから。』


ある程度アルコール入って、お互い普通に話せるようになった時に彼女からこれ以上ない笑顔で話していた。
よっぽど俺に嫌われた事を心配していたように感じた。


だから俺もその笑顔に負けないくらい明るい顔でこう告げる。


『あはは、何言ってるの?君のこと嫌いだから。』


『ええええええええええ!!!!許してくれるって言ったじゃん!!』


『それとこれとは別だよ。だから飲み終わったらこれでさよなら。もう明日から家来ないでね。』


部屋に静寂が訪れる。
またさっきのように張り詰めた空気になる。


『……分かった。』


先に口を開いたのは中村さん。


どうやら納得してもらったらしい。
それなら一安心だ。


『じゃあ嫌いでもいいから友達になる。』


『は?』


彼女の言葉の意味が理解できず思わず口から漏れる。


『友達なら嫌いでも家来れるでしょ?だから勝也、これからも末長くよろしくね!』


笑っている彼女を見て気付く。
ああ、彼女はバカなんだと。


12月、俺には暖かく感じたそんな夜だった。

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