君が嫌い
こうやって洗脳を駆使して数日間俺を騙し続けてこの家にいたというわけか。
もう俺にその技は通用しないぞ。


『あの……もう帰ってください。』


『いやー、友達同士なんだからいいでしょー。』


子供のように地団駄を踏んで駄々をこねる。


『あのさぁ、友達同士じゃないでしょ。俺は君と友達なんて一言も言ってないんだから。』


『……だけどぉ。』


納得していないようで歯切れの悪い言葉。


『だけどもクソもない。最初からずっと君が嫌いって言ってるでしょ。』


『嫌いなんだろうなって素振りはされていたけど、勝也の口から直接言われたのは今日が初めてだったよ……。』


『あれ、そうだったかな……。』


首を縦に1回振り俯く彼女。


確かに思い返せばずっと遠回しに伝えていたような気がする。


形はどうであれ直接伝えてしまったんだ、もしかしたら傷つけてしまったかもしれない。
俯いている彼女を見てそんな事を思う。


だけどいつまでもこの曖昧な関係で過ごしていくのは違うと思う。
だから心苦しいけど、彼女には正直に話すべきだろう。

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