君が嫌い
『俺は君を1人の人として見ていない。多分俺のこの気持ちはこのままどれだけ君と過ごしていても変わらないと思う。それほど君といるのは俺にとって苦痛でしかない。だから俺と友達になろうとするのは諦めた方がいい。』


ちゃんと伝えられた。
これでよかったんだ、これはお互いのためなんだから。


……違う。
俺がただこの人から逃げたいだけの言い訳に過ぎないだけ。


俺は彼女を恐れているんだ。
土足で俺の心の中に入り込もうとしている彼女の存在に。


『勝也の言いたいことは分かったよ。私ってバカだね、直接言われてないからどこかでまだ嫌われてないのかもって勝手に思い込んで、結局勝也に迷惑かけちゃってたんだね。』


泣いていた。
正確には笑いながら涙を流していた。


胸が張り裂けるような思い。
なんでだろう、放っておけば済む話なのに助けたいと心が叫ぶ。


『……でも私絶対に諦めないから。顔が見たくないほど嫌われてても、私何度でもこの家に来るから。』


何故この人はそうまでして俺にこだわるのだろう。


心の距離はどんどん遠くなっているのに何故彼女はそれでも這い上がろうともがくのか、俺には分からない。

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