too much
「ねぇ…昨日、観覧車でユキとどんな話したの?」

「えっ!?ど、どんなって…」

あゆの唐突な質問に、私はごはんが喉に詰まりそうになった。
それをどうにか飲み込んで…



「特にたいした話はしてないよ。」

私はオムライスを口に運びながら、必死で平静を装った。



「そうなんだ…」

「あゆは、海斗と何か話したの?」

私は顔を上げず、あゆに訊ねた。



「……私達も特になんてことはなかったよ。
夜景が綺麗だったから、主にそういうの見てただけ。」

「そっか…あ、それにしても、スマホ見つかって良かったよね。」

「うん、良かった。」

黙々とオムライスを口に運びながら、私はとにかくごく普通の私を装った。
でも…やっぱり隠し事をするっていやなもんだな。



良く考えてみれば、私が今やってることって略奪愛…?


(私が、略奪…)


なんか、自分のキャラに合わなさ過ぎて、改めてびっくりしてしまう。



(それに……)



もしも、このまま、私と島本さんが付き合うようになったら…
今まで育んで来たあゆとの友情はどうなってしまうんだろう!?



なんだか心に迷いが生じて来た。
あゆと島本さんを比べたら、天秤はどちらに傾くんだろう?
確かに、島本さんは私にとってすごく相性の良い相手のように思えるけど…
でも、だからって、あゆを傷付けて良いんだろうか?
あゆは大切な親友なのに…



そんなことを考えたら、急に胸が痛くなって来た。



そうだよね…昨夜は考えもしなかったけど、私が島本さんを諦めるって選択肢もあったんだよね。
そしたら、あゆとはきっとこのままうまくやっていける…



私の心の中は、迷いでいっぱいになっていた。
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