too much
「僕を選んでほしい。
本心ではそう思ってます。
でも、あなたとあゆさんの友情を考えたら…やっぱり僕にはそんなことは言えない。
あなたにとって、あゆさんは大切な人なんですよね?」

「ええ…
前の彼氏にフラれた時も、あゆには本当にお世話になったんです。
あゆが支えてくれたから、私は立ち直れた…」

「そうだったんですか…」

そんな話を聞いたら、ますます僕を選んでほしいなんて言えなくなる。



「私…島本さんのことが好きです。
でも、あゆも大切で…
昨日は浮かれて、そんなことも忘れかけていましたが、今日、会社であゆと顔を合わせたら、あゆにとても悪いことをしてるような気がしてきて…」

「そうですよね…あなたは優しい人だから、そう思われるのも無理はありません。」

「私…優しくなんかありません。
ただ、優柔不断なだけです。」

平川さんはそう言って、唇を噛み締めた。



彼女は苦しんでいる。
なのに、僕にはどうしてあげたら良いのかわからない。



いや…彼女の苦しみを終わらせるためには、僕が身を引くべきなのかもしれない。
でも…僕は平川さんが好きだ。
しかも、僕達はお互いに好意を感じている…
男らしくないかもしれないけど、そう簡単には諦められない。



(僕は、どうすれば良いんだ?)


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