too much
島本さんは、優しい笑顔で微笑んでくれた。



(島本さんって、笑うとなんだか可愛い…)



もしかしたら、私…島本さんと付き合った方が良かったんじゃないだろうか?
なんて…何、馬鹿なこと考えてるんだろう。
島本さんは、あゆが好きなんだから。
私がそんなこと考えたって意味がない。
デュエットを頼まれたからって、別にそれは私を好きだからってわけじゃないんだから。



それに、相川さんともまだ付き合い始めたばかりだもん。
合わないって、先入観を持っちゃだめ。
やっぱりある程度は付き合ってみないと、その人のことなんてわからないもの。



そう思うのに、なんとなく相川さんとのお付き合いに前向きになれない。
見た目は格好良いし、しかも歌もすっごくうまいし、きっと相川さんはモテると思う。
そんな人と付き合えるのはありがたいことだけど…
なんでだろ?
相川さんの軽~い感じがいやなのかな?
でも、誰にだって、ちょっとくらいいやな所があるのは当たり前。
完璧な人なんていないよね。
純也だって…



(あ……)



そっか…私、まだ純也のことが忘れられないんだ。
純也にフラれたことも受け止めてるし、純也のことはもう諦めたけど、それでもまだ「忘れる」ってことが出来てないんだ。
そんなこと、わかってたはずなのに、すぐに忘れてしまう。



(そう、私は生まれ変わる!
純也のことは忘れる!
新しい恋には前向きに…!)

私は心の中で、今一度自分にそう言い聞かせた。
< 44 / 141 >

この作品をシェア

pagetop