‐部恋。 Another Story‐


そう言って彼女は
俺からそっと離れた。


下にうつむいていた彼女は
俺に目を合わせる。

距離が近くて
俺から抱き締めておきながら
高鳴る心臓……。



「なんか、改めて
 《仲間》って言われたら、
 思い出した。
 初心の気持ち。」

彼女はすごく
爽やかな笑顔で
俺に言った。


『…初心?』


「今日、潤ちゃんに
 言われたんだ。
 『初心に戻りなよ』って。

 楓高の伝統は
 チームワークの良さなのに
 なんか一人ぼっちの気分に
 勝手にさせてたのは
 自分のせいだった。」


そう言って笑う彼女を
すぐに抱き締めたくなった。

………すごく。


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