‐部恋。 Another Story‐
俺がそう言ってる間、
彼女は目を逸らさなかった。
そんなところは
すごく彼女らしいと思えた。
でも、彼女はなぜか
涙を溜めて俺をジッと
見ていたんだ。
そして、気持ちを
落ち着かせてから
彼女は口を開いた。
「あたしにとって
高校に入ってからの
一番の友達は
健ちゃんなんだ。」
「もちろん、
潤ちゃんとは別でね。
最初は仲良しな男友達
って感じで
友達として健ちゃんと
一緒に過ごしてたつもり。
でも、健ちゃんの気持ちに
気付いたとき……
正直、自分の気持ちが
すごく揺らいだの。
あんなに一緒にいた
健ちゃんだからこそ
一番自分のことを
知ってくれてるのは
健ちゃんなんだ
って思った。」
『そっか。』
その彼女からの言葉だけで
もう十分だった。