桔梗
2
『 きーこちゃん 』
携帯の画面に表示された通知。
送り主の名前は、“幸隆”
目を疑った。
まさか本当に送ってくるなんて。
あれから一週間、連絡先を交換したもののなんの音沙汰もなしで、もう半分忘れかけていた。
『 おひさしぶりです 』
それだけ返すと、すぐに既読がついた。
『 なんでそんなよそよそしいの(笑)』
『 今日暇だったりする? 』
小分けで送られてきたメッセージ。
男の人らしい絵文字なしの味気ない文章だけど、あの愛嬌満点の笑顔が脳裏に浮かぶ。
『 学校の後なら用事はないですけど、
何かありました? 』
『 特に用事はないんだけど
どうしてるのかな〜って思って。
空いてるならご飯行こうよ 』
ご飯行こうよ、の後に音符が添えられてきて思わず可愛いなんて思ってしまった。
帰ってご飯作るのも面倒だし、別にいいか。
ご飯のお誘いを受けることにした。
だけど、これって私、へこへこ着いて行ってしまう女なのかな。一回会っただけだけど、男友達とだってご飯は行くし、これは普通?
なんて考えていると、 幸隆くんからの返信が届いた。
『 じゃ、学校終わったら連絡して! 』
もう受けちゃったもんは受けちゃったしし、何も考えないことにしよう。