桔梗
「では、この説明は次週行います」
教授の声を合図に騒がしくなる教室。
荷物をまとめ、教室を出る前に携帯を開く。
『今終わりました。どこで待ち合わせします?』
それだけメッセージを送って、講堂を後にした。
正門に向かう途中の中庭で携帯を確認したけど、返事はまだのようだ。既読マークもつかない。
きっと、ここから3駅先の、出会った時に4人で食事した繁華街だろう。とりあえず駅まで行こう。
そう思って歩きだし、正門まであと少しのところで携帯が鳴った。
確認すると、彼からの着信。
「もしもし」
「お、桔子ちゃん。なんか声聞くの久しぶり」
電話の向こうで、ははっと笑う声。
「そうですね」
楽しそうな声に、こちらも少し笑ってしまう。
「まだ学校?」
「はい、とりあえず駅まで行こうと思って、学校出るとこです」
「よかった。じゃあ、とりあえず正門出て」