桔梗
「てか、敬語じゃなくていいよ」
「いやいや、そんなの…」
「いいの。敬語じゃなくていい、っていうか敬語はなしにして。年上なだけで、俺ら友達でしょ?」
「ええ…」
会った時からずっと敬語なのに、今更そんな事言われても…
「おっけー?」
躊躇っていると、顔を覗きこんでくる幸隆くん。
「本当にですか?」
「本当に?」
「…ほ、本当に?」
「うん、本当」
満足そうに笑うと、あともう一つ、と付け足される言葉。
「"幸隆くん"も他人行儀だから変えてよ」
「いや、それは無理です!」
「また敬語使った」
「だって…」
私の反応を楽しむように、可愛いね、なんてサラッと言ってしまう。
チャラいけど、不覚にも顔が熱くなるのを感じて、余計に恥ずかしい。