桔梗
「いや、まあ、確かにそうだけど…」
それでも納得がいかない様子の智夏。
「手も触れなかったの?」
「手は触れなかったけど…
帰る前に頭はポンポンってされた」
「うーわ、さすがだわ。策士だね〜」
「でしょ?」
「でもさあ…。いくら男女の友情成立する派でも、あそこまでのイケメンだったらクラっとしない?」
クラっとしなかった
と言えば嘘になる。
確かに何度もドキドキはしてしまった。
「でも、私はチャラい男には騙されません」
「確かに。桔子は軽くないもんね」
うんうん、と頷きながらアイスココアをストローで流し込む。
「けどもし私だったら、策士ってわかってても騙されたフリしちゃうな〜。あんなイケメンの罠に引っかからない手はないでしょ」
「智夏ならやりそうだわ」
「でしょ?」
なんてヘラヘラと笑う智夏。