少女に野獣。
ーーーーーーーーーーーーー


重い、重い瞼を上げた


ずっと閉じたままがよかったけれど、まだ1月


肌寒くて目覚めてしまった


体が、熱い


ダルい体を動かすのは億劫で、視線だけをさ迷わせた


糸夜さんの姿は無いようで、ホッとする


信じられなかった…


信じたくなかった


薄暗い路地裏で私を見つけてくれて、怪我が治るまで介抱してくれた優しい糸夜さんが、あんなことをするなんて…


これは夢


きっとそうですよね…?


自問自答していれば、部屋の扉が開く音がして慌てて目を瞑った


カツカツカツ


ハイヒールの歩く音が響く


良かった…糸夜さんじゃない……


「お目覚めですよね。社長より伝言があります」


寝たフリは通用しないようで、ベッドから起き上がろうとすると、何とも言えない痛みが下腹部へ走った


「ッ…」


昨夜、気を失うまで何度も、、何度も貫かれたソコ


「貴方……
…葵は、特定の女など作らない。貴方も、所詮は暇潰しだったのね」


"可哀想に"哀れみの眼差しで私を見る、昨日の綺麗な秘書さん


暇潰し?


可哀想?


何を、言っているんですか…?


あんな事が暇潰しであって言い訳がない


「今日は、1日この部屋から出ないようにと言っていたわ
貴方がどうしようと私には関係ないけど、今日は会社にとって大事な日なの。葵に迷惑だけはかけないでちょうだい」


カツカツカツと再び靴を鳴らして部屋から出て行った


要するに、この部屋から出るな。それだけを伝える為にあの人に頼んだの?


何だか……


無性に腹が立つ


あんな酷い事までしておいて、自分は仕事ですか


そうですか。分かりました


貴方が好き勝手するならば、、


私も、私の好きなようにさせてもらいますから!




< 61 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop