少女に野獣。
寝て、起きて、の繰り返しの日々


3日……5日……?


ここへ連れてこられて、どれ程の時間が経ったのか今ではもう知る術もありません


何せ、この部屋にはベッドしかありませんから…


「食え」


そのベッドの上へ置かれたのは、可愛らしい陶器の器に入ったお粥


持ってきたのは、あの時の金髪


黒髪の仲間で、私を怒鳴った怖い人


ベッド脇に腰を下ろし、無言で私を睨む彼は、私がきちんとコレを食べるのかを見張っている


これまでに、色んな物を持って来た


ハンバーガーだったり、天丼だったり…


あぁ、ピザやお蕎麦の時もありました…


いつもなら喜んで飛び付いただろうソレらだけど、何故だか美味しそうとも思えなくて…


一口も食べずに過ごしていれば、このお粥が出てきた


「チッ…」


立ち上がった金髪が、今度はベッドへ腰を下ろし、


「さっさと、食え」


湯気のたつお粥をスプーンですくって、私の口元へ持ってくる


眉間に皺を寄せる金髪を見ていれば、再び舌打ちをして私の顎を掴んで無理やり口へ入れてきた


「ッ……ンッ…」


熱すぎず温かいお粥を口にしただけで、何だかホッとする


久々の食事に、なかなか飲み込めない


「ゆっくり食べろ」


次の分をスプーンへ乗せてそう言われる


怖いと思っていた金髪のこの人は、本当は優しい人だとこの数日で知りました


ジャラン


右足首に付けられた鎖


何度も何度も外そうともがいた


だけどソレが外れることはなくて、出来るのは鎖に擦れて出来る傷だけ


「俺が言う事じゃねぇが………無駄なことはすんな…」


やっぱり、優しい人…


私の足首の傷を見て、辛そうな顔をする


ここから出してと何度もお願いしたけれど、首を縦に振ってはもらえない


それもこれも……


「誰が、勝手に入っても良いなんて言った?」


「「ッ……」」


冷たい、真っ黒い瞳の彼のせいだ…



< 76 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop