ラストクリスマス
「ええ。アルモンド・グローブ。あなたのお父さんの名前...。あなたのお父さんはね、兵士として活動しながらこの土地である研究をしていたの。」
「けんきゅう...?」
「そう。でもそれはとても危険なことだった。何故なら、それは自分のしていること、いや世界がしていることを否定するような事だったから。」
「それってなに?」
「戦争がない平和な世界を生み出すための研究よ。
戦争をなくすには、人の心から競争心を取り除かなければいけない。
そのためには、薬が必要だった。
この研究は、アルモンド...いえあなたのお父さん1人で極秘裏に進めていたの。
でも、私が兵士としてのアルモンドを手当てしていた時彼の所持品から薬が出てきたの。そしたら、苦笑いをして見つかっちゃったと言ったの。で、この薬は何?って聞いたら彼自身の研究を私に打ち明けてくれた。最初はそんなの無理だし、第一、競争心が無くなってしまったら向上心も無くなってしまう。つまり、むしろ世界は衰退してしまうと思ったの。
だけど、アルモンドの熱心な目と真剣な表情をみてるとこの人の言ってることは正しいのかもなぁって思えてきて。
だから、研究に参加させてくれって頼んだの。
そしたら、驚いた顔をしたあとすぐに私にありがとうといって優しく微笑んでくれた。
その時の表情は今も忘れることは無いわ。」
たくさん話しすぎちゃったわねとおねえさんは言って、ぼくにあたたかいミルクを用意してくれた。
「この先も聞きたい?」
おねえさんはぼくにやさしく聞いた。
「うん。」
僕は答えた。
おねえさんは深く息を吐き、また話始めた。