ラストクリスマス
「それから、私はアルモンドの研究の手伝いをしたの。
実験台にもなったし、薬の調合もしたこともあるわ。
その度に彼は私にありがとうといってホットミルクを作ってくれた。
彼のホットミルクは世界で一番おいしかった。
そして、よく話をしたの。
もちろん平和についての話が多かったけど、でも彼は家族の話をよくしていたわ。」
「ぼくたちのことを?」
「そう。愛する奥さんと子供が2人僕の帰りを待ってるんだって言ってた。必ず次のクリスマスには帰るんだって。」
「おとうさん、やくそく覚えててくれてたんだ!」
「ええ、もちろん。でもね、クリスマスイブの日急に宣戦布告も無しに急に相手がしかけてきたの。
その場は一瞬にして戦場と化した。燃え上がる炎、何人もの人が死んだ。アルモンドも...。
私はその日休暇を貰ってたから現場に行くのが遅くなって...私が駆けつけた時にはもう意識が薄れていて、懸命に私は手当てをしたの!でも、ダメだった…。
私がもっと早く駆けつけていれば!
あの人は死ななくて済んだかもしれないのに!
だから私のせいなの...」
おねえさんのはなしはぼくにはむずかしいことばかりだった。
でも、ぼくはおとうさんがしんだことと、おねえさんが今でもおとうさんがしんだことをじぶんのせいだとせめつづけている、ということだけは分かった。
でも、ふしぎとぼくはおねえさんをせめる気にはなれなかった。
おねえさんはそうだ。と言って、家のおくにはいっていった。
そして、なにかカプセルのようなものをもってぼくのてににぎらせた。
「これなに?」