生徒に恋した教師
「明日宮、体調悪かったりするか?」

「はぁ。
ううん。違う。」

明日宮の声のトーンが元気がないから

顔をのぞきこんで見ると…

「な、んで泣いてんだよ…?」

生徒とはいえ、好きな女の涙を見て

動揺しない男はなかなかいない。

「やっぱり先生と同級生が良かった。
そしたらこうやって
スーパー行くくらい普通で
隣歩くことくらい普通で
荷物持ってくれることくらい普通。

自分が生まれたタイミングが先生より
少し遅かったことが悔しくて泣いてる。」

普段何があっても泣かなそうな明日宮。

どうして俺とお前のことで泣いてくれんの?

「そんなに悔しいなら
これからだってスーパーも行く。
隣も歩く。
荷物も持ってやる。」

「嘘だね。
先生は私が卒業して行ったら
次の生徒がいて私なんか忘れちゃうんだ。」

自嘲的に笑う明日宮。

ムカついた。

本心を言ったのに信じてもらえなかった

なんていう子供みたいな理由で。
< 98 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop