社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
私は残るメンバーに頭を下げて、社長に手を引かれて社長室に入っていく。


社長も片手で器用に帰り支度をしていく。



「冬馬、先に帰る。また月曜に。」



内線で長谷川さんに連絡を入れた社長が部屋を出ていく。


手を繋がれたまま、エレベーターで駐車場に向かう。


私を車に押し込め、社長が運転席に座る。



「花菜、ゆっくりと二人で話すか。」


「…………。」



ニヤリとする社長の顔から腹黒さを感じ取った。



「社長、顔から腹黒さが見えます。」


「健人だ。やっとわかってきたか?」


「…………。」



健人さんが車を静かに発進させた。


流れる景色を見ていれば、健人さんの近くにあるスーパーに寄るみたいだ。



「今から作るの?」


「ああ。今日から外には出ない。」


「はあ?」



あまりの驚きに変な声が漏れた。



「ククッ、どんな声を出してんだよ。花菜は俺に何かしてくれるんだろ?なら、たっぷり尽くしてもらう。」



健人さんの言葉に固まった。
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