社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

「長嶺、どんな感じだ？今月中に終わりそうか？」



他の事を考えていた私に坂本さんの声が聞こえてきた。


私は大きく頷いて合図を送る。



「大丈夫です。」


「徹夜の前に相談しろ。多すぎるなら分担する。」


「大丈夫です。今のところは計画通りなので。」


「わかった。」



坂本さんに進捗具合を報告し、黙々と仕事に打ち込んだ。


今のプロジェクトの仕事が今月末で一度リリースする必要がある。


それに向けて、各自が忙しく仕事を進めている。



「長嶺、来週の月曜の会議室を頼む。」


「はい。」



坂本さんの指示が飛んでくる。



「長嶺、社長にも会議に出席をお願いしといてくれ。」


「はい。」



前からの視線に長野さんを見た。



「長野さん、何ですか？」


「いや、この前の二人を思い出して。喧嘩してたのか？」


「…………違います。」



長野さんから自分のPCに視線を戻した。


あの日の私と社長の雰囲気で喧嘩だと気づいた人がいたかもしれない。


過ぎた事だから気にしない。