社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
静まり返る部屋に私も社長を見つめた。



「奥寺、タイミングを逃した時点で手には入れられない。」


「………。」


「仕事も恋愛も同じだ。タイミングを逃す奴は………それを手には入れられない。」


「手には入れられない?」


「タイミングを逃すなって事だ。」


「俺は逃がしたって事?」


「そうだ。花菜は2度と手には入れられないって事だ。」



奥寺と社長の言葉に誰も口を開こうとしない。


社長が私の肩を抱き寄せた。



「結婚とか考えてない訳じゃない。だけど、それは花菜に伝えてからだ。」


「「…………。」」



静まり返る部屋が一気に盛り上がり始める。



「社長、今の発言。」


「花菜、聞いた?」



盛り上がる同期に私は現実逃避したい気分だ。



「結婚とか考えてるって。花菜、一番乗りじゃない?」


「長嶺、呼べよ。」


「健人、いいのか?簡単に口にして。」



呆れた長谷川さんの言葉にチラリと長谷川さんを見た。
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