社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

『来週は泊まりに来い。

二ノ宮健人』


『週末は行きます。いつも行ってますが？

長嶺花菜』


『平日の話だ。再来週から会えないだろ。

二ノ宮健人』


『平日は………

忙しいので自分の家に帰ります。

社長もゆっくりしたいでしょ。

長嶺花菜』


『花菜といたい。絶対に来い。

二ノ宮健人』



進捗会議から戻れば、すぐに社内メールを受信した。


不機嫌な社長の理由は私と会えない事―――


そう考えれば自然とニヤニヤとしてしまう。


ふと社長と付き合ってからの日々を思い出す。会社では毎日のように会えるし、週末には社長のマンションで過ごす。


いつも当たり前のように一緒にいる。



「１週間か………。」



考え事が口に出てしまった。目の前に座る長野さんと視線が合う。



「長嶺、余裕だな。」



その言葉に私は頭を切り替えて作業を始めた。