社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
花菜の席に座り、前に座る驚いた表情の長野に同じ言葉を掛ける。



「長嶺は大丈夫か?」


「あっ、はい。昨日は順調に終わりました。」


「っで飲み会?」



俺の言葉に長野が固まる。じっと長野を見ていれば、肩を叩かれた。



「社長、会議です。」


「………わかってる。」



花菜の席から立ち上がる。



「金曜も飲み会って聞いたが?長嶺は大丈夫そうか?」


「………昨日は大丈夫でした。少し酔ってはいたようですが。」


「酔ってたね…………。」


「社長。」



冬馬の強めの口調に仕方なく歩き始めた。背後から大きな息を吐く声が聞こえてきた。



「社長、仕事はきっちりして下さい。」


「………。」


「会議に遅れます。急ぎ足で。」


「…………。」


「長嶺さんは大丈夫です。きっちり仕事はする人ですから。」



小姑のような冬馬の言葉に無言で急いだ。



「飲み会を心配してるんだ。」



俺の小さな呟きに冬馬の視線が突き刺さった。
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