社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「健人、聞いてるか?」


「悪い、何だ?」


「………本当に変わったな………。女を追い掛けていくような奴じゃなかっただろ。」


「…………、新幹線を頼む。」


「はいはい。月曜はちゃんと出社しろよ。」



呆れた声の冬馬が内線を切った。俺は目の前にあるPCを操作する。



温泉?


二人で温泉か?



ガチャ。



扉の開く音に視線だけを向けた。



「健人、自費で行けよ。」


「わかってる。」


「ニヤニヤすんな。」



冬馬の言葉に顔を引き締めた。



「ほら、金曜の18時42分発だ。」


「悪い。」


「そんなに会いたいのかよ。」


「………ああ、飲み会に行くらしい。」


「大丈夫だろ?飲み会ぐらい……。」


「飲み過ぎるかもしれないだろ。俺達が初めて一緒に飲んだ時みたいに。」


「………あれは健人が強めのカクテルばかり進めてたし。失恋のショックもあったし。」
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