社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
花菜に会うため、仕事を前倒しに進めた。



「健人、土産でも買ってこいよ。」



金曜の定時で仕事を切り上げ、荷物を片手に新幹線に乗り込む。


前日に花菜には連絡を入れていた。



『金曜の飲み会の場所は教えろ。』


『何で?』


『金曜から温泉だ。そのまま泊まりで旅行だ。』


『本気で言ってる?』


『ああ。場所は連絡しろ。』



花菜の反応にニヤニヤが止まらない。相当、驚いているに違いない。


花菜に会えない日々は長かった。仕事を詰め込んで寂しさを紛らわしていた。

部屋にある花菜の面影が会いたい気持ちを増大させる。



「はっ、俺も変わったな。自分から女を求めるなんて。」


「本当だ。」



背後からの声に振り返れば、冬馬が煙草を咥えて立っていた。


俺と同じで喫煙室に休憩に来たようだ。
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