社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
健人さんの温もりに安心して深い眠りに落ちていく。



「おやすみ、花菜。」



健人さんの優しい声が耳元で聞こえてきた。そのまま眠りに落ちた。


久し振りに触れる温もりが安心感をくれる。








「ん…………。」



頬を撫でられる感触に体を捩れば、温もりに引き寄せられ身動きできない。



「花菜、おはよう。」


「ん………、朝?」


「早いけど温泉に行かないか?この時間なら貸切風呂が空いてる。」


「貸切?」


「二人で温泉に浸かろ。」



健人さんが嬉しそうに耳元で囁いている。私はチラリと健人さんを見て再び目を閉じた。



「健人さん、お先にどうぞ。」


「…………一緒に入らないと温泉の意味ない。」



健人さんの言葉にムッとする。



「花菜?」


「…………。」


「花菜?」


「今までの当たり前を私に押しつけないで。」



思ったより低い声が出ていた。頬を撫でていた健人さんの動きが止まった。
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