社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
健人さんとは反対側に顔を背けた。



「花菜?」


「今までの当たり前を私に聞かせないで。他の女との話は聞きたく………。」



私を抱き締めていた健人さんの腕に力が籠り、私を一気に健人さんの上に持ち上げた。


驚きに閉じていた目を開けば、健人さんの上に乗せられ、目の前には笑みを浮かべる健人さんの顔があった。



「花菜、ヤキモチ?」


「………嫌なだけ。」


「初めてだな?ヤキモチ妬いてくれたの。」


「………。」


「いつも俺ばっか妬いてた。」



健人さんの唇が重なり、すぐに私から離れた。



「言っとくが、温泉に女と二人で来ない。ここは家族と来る馴染みの温泉だから。」


「家族と?」


「特別な場所だから。」


「特別な場所?」


「忙しい家族とのんびり過ごした旅館だ。そんな場所には花菜しか連れて来ない。」



健人さんの唇が再び重なった。今度は啄むようなキスを何度もする。
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