社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「社長、お疲れ様です。」



頭を上げれば、社長の視線とぶつかる。



「長嶺さん、楽しそうだね?」


「…………。」


「健人、止めろよ。長嶺さん、気にしなくて大丈夫だから。」



長谷川さんの優しい声と笑みに体の力を抜いた。私は長谷川さんに微笑み返した。



「社長、金曜日のお店を一緒に決めていただけです。」


「………親睦会のか。」


「そうです。社長は何か用事でも?」


「………冬馬、これを探しておいてくれ。」



何やら長谷川さんに資料を手渡している。長谷川さんはチラリと見て頷いている。



「わかりました。長嶺さん、社内の連絡はお願いしても?俺は社外に連絡するから。」


「はい。」


「お店の予約は長嶺さんで予約したから。当日は早めに到着してくれる?」


「はい。長谷川さん、ありがとうございました。」


「いえいえ。あっ、元気出しなよ?」


「えっ?」



長谷川さんの意味不明な言葉に首を傾げた。



「彼氏の話。」


「あっ、ああ。大丈夫です。」



私はお辞儀をすると秘書室を後にした。
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