社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
昼休みも終わり、席に戻ると社内メールを送信する。相手は勿論―――――。



『今日は飲みに行きます。

長嶺花菜』


『誰と?何処に?

二ノ宮健人』


『同期と。また連絡します。

長嶺花菜』


『迎えに行く。場所は?

二ノ宮健人』



そのメールには返信しなかった。


今は………知ったばかりの現実に社長と二人で過ごす勇気はない。


これ以上、現実を突き付けられるのは堪えられそうにない。



『二ノ宮を守る義務がある。』


『T&Tコーポレーションのお嬢様だ。』



お見合い?それとも既に顔合わせ済み?



『遊びは止めなさい。』



一番私の心を抉られた言葉だ。


初めて人から遊びの女だと言われた。



「長嶺、再来週にもう一度、統合テストの出張を頼む。」


「はい。」



坂本さんの声に大きく頷いた。



「障害は修正しておけよ。」


「はい。」



気持ちを切り替え、仕事に打ち込んだ。
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