社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
始発で私達は解散した。


祝日の朝は静かだ。始発の電車には同じように始発まで楽しんだ人達が座っていた。



「長嶺、帰れる?」


「大丈夫。奥寺、また明日。」


「ああ。」



同じ方向の奥寺と別れてホームに降り立った。疎らに家に向かう人達が歩いている。


私も眠気と体の怠さに襲われながら家路を歩く。


ふと住んでいるマンションの前に見覚えのある車が止まっていた。


その車に嫌な予感がしてきた。


私は急いで自分の部屋に駆け込むと玄関には革靴が脱いである。


合鍵を渡していた健人さんが家にいる。



「花菜、朝帰りか?」



玄関に立つ私に聞こえてきた怒りを含む声に動けないでいた。


目の前に立った健人さんを見上げる。



「ただいま?」


「何時だ?朝だぞ?」


「あっ、うん。終電に乗れなくて。」



怒っている健人さんの脇を通り過ぎてソファーに座った。
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