社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「寝てても良かったのに。」



なるべく明るい声で話し掛けるが、ソファーの前に立つ健人さんの雰囲気は怖い。



「誰といた?」


「同期。」


「奥寺?」


「あっ、うん。奥寺もいた。」


「花菜、覚悟しておけって言っただろ?」



低い声を吐き出す健人さんから逃げるように洗面所に向かう。


健人さんが私の後を追ってくる気配を感じる。



「花菜。」


「ん?健人さんは寝た?私は一睡もしてないから寝るけど帰る?」


「帰る?ふざけんな!」



怒鳴る健人さんに完璧に動きが止まった。振り向いた先にいた健人さんの表情が怒りに染まっている。



「寝れる訳ないだろ?自分の女が朝帰り?ふざけんな!」


「…………止める。」


「はあ?」


「止める!」



怒りに染まる健人さんだが、私も健人さんには怒りが沸々と沸いてきていた。


怒鳴る健人さんに向かって、ムカついている事を吐き出した。
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