社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「ただいま。親父、お袋、紹介する。」



リビングに手を繋いだまま、健人さんに手を引かれ一歩踏み入れた。


ソファーに腰掛ける健人さんの両親が目に入る。



「初めまして、長嶺花菜と申します。」



深くお辞儀をして挨拶をする。頭を上げれば、二人の視線が突き刺さっており息を呑んだ。


健人さんに手を引かれ、ソファーに連れていかれるが、その間も視線が突き刺さっている。


あまりの緊張に息が止まりそうだ。



「花菜、座って。」


「お邪魔します。」



健人さんと並んでソファーに腰掛ける。目の前には両親がジロジロと私を見つめている。


緊張に唾をゴクリと飲み込んだ。



「親父、お袋、この前の話だけど。俺は彼女と結婚するから。」



健人さんが徐に話し出した。突き刺さる視線に体が固まる。



「若そうね?おいくつ?」


「24です。もうすぐ25になります。」


「健人とは………10ぐらい下かしら?」



お母さんの冷たい声に歓迎されていないのが伝わってくる。
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