社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「私は飽きない。」


「俺も飽きない自信あるけど。」



お互い目を見合わせて笑い合う。


幸せだと思った。



「私、玉の輿だね?」


「そうだな。もしかして狙ってたか?」


「ふふっ、私の罠に掛かったのかもしれないよ?」


「だったら掛かってやる。ずっとずっと愛して離さない。」



ワイングラスをテーブルに置いた健人さんが私の手からもワイングラスを奪う。



「まだ飲む。」


「後で。」



ワイングラスをテーブルに置いた手が私の頬を優しく撫でる。


その手に摺り寄るように目を閉じた。



「温かい………健人さんの手。」


「そうか?」


「『この温もりを離したくない』と何度も想った。」


「ああ。」


「離さなくて良かった。」



頬を撫でる健人さんの手を包むように手を添え、閉じていた目を開いた。



「この手をいつかは手離すんだと………覚悟してたのに。」
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