社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「それは無理だ。俺が離さない。」


「奇跡。」


「ん?」



上目で健人さんを見上げて微笑む。



「健人さんとの未来は奇跡。」


「はあ?」


「御曹司は付き合うだけの男。玉の輿は奇跡。」


「何だ、それ。」



健人さんの眉間に皺が寄るのを、手を伸ばして、その皺に触れる。



「清水さんの名言。」


「清水か……。後輩に先を越されたな。」


「来年か……。」



頬に触れていた健人さんの手を外して、ソファーに深く凭れ掛かった。


健人さんが肩を抱き寄せる。



「私は都会でバリバリ働く女性を目指して上京して………SEとして働ける事が誇りでもあった。」


「花菜、ごめん。」


「謝らないで。それ以上に幸せを掴んだから。」



クスリと笑う健人さんを見上げる。



「やっぱり玉の輿?」


「そう思う?」


「だろ?」


「やっぱり止める?」



健人さんをじっと見つめれば、同じように私を見つめている。
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