社長の甘い罠～いつしか当たり前に～ ＋ 番外編

社長が立ち上がった。途端に静かになる座敷に私は社長を見上げた。



「それでは。本日は今回のプロジェクトの成功と親睦を深める為にお集まりありがとうございます。」



皆がじっと社長を見つめ話を聞いている。



「この機会に密なやり取りが図れます事を祈りまして………乾杯。」


「「「乾杯。」」」



グラスを持ち上げて乾杯をすれば、ザワザワと雑談が始まった。


私は皆さんから飲み物のリクエストを聞いて、ドンドン注文していく。



「長嶺さんもゆっくりして。後は自分達で頼むから。」


「はい、長谷川さんも。」



気を使ってくれる長谷川さんに微笑んだ。



「長谷川さん、ここに座ってよ。ほら、長嶺さんは上座で挨拶がてら行ってきて。」


「えっ？清水さん。一人で？」


「そう。顔を覚えて貰いなさい。」


「清水さん、一緒に……。」


「私は長谷川さんと話したいの。」



私は長谷川さんを見上げれば苦笑いを返された。