社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
固まる私の手に視線が突き刺さり、奥寺の手を離した。



「社長、何か?」


「花菜、浮気するなよ。」


「してない。」


「今日も先に帰る。花菜はまだまだか?」


「あっ、うん。」


「一緒に帰れなくてゴメン。それと………。」



社長の視線が奥寺に突き刺さる。



「奥寺、変な事を吹き込むなよ。」



社長が扉を閉めて出ていく後ろ姿を目で追う。



「長嶺、社長は変わってないだろ。」


「…………。」


「それにしても社長は何で急いでるんだ?」


「………知らない。」



奥寺が煙草をもみ消し、私たちは残りの仕事を片付けに席へ向かう。



「長嶺は忙しいのか?」


「うん、追い込み。今月末に納期。」


「今週末か?」


「そう。」


「頑張れよ、長嶺。」


「奥寺も。」



私たちは席に戻り、残りの仕事を片付け始めた。


プロジェクト内は納期に向けてピリピリとしている。私も追われるように仕事を進めた。
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