社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「おはようございます。」


「おはよう。」



席に座り、PCを立ち上げる。


目の前に座る長野さんをチラリと見れば、パンを急いで食べていた。



「長野さん、家で食べてないんですか?」


「時間がなかったんだよ。」


「寝坊?」


「疲れてて起きれなかっただけ。」


「私もです。」



食べていた長野さんの動きが止まり、私をじっと見てきた。



「その割には疲れてなさそうだな。」


「…………。」


「社長のお陰だろ?ちゃんとお礼を言えよ。いくら婚約者でも。」


「…………そうだね………。」



私の沈んだ声色に、隣に座る清水さんがポンポンと肩を叩いた。



「長野、朝から苛めないの。カリカリする気持ちは解るけど。」


「………悪い、長嶺。」



長野さんの言葉に首を大きく横に振った。



「いえ、長野さんの言葉は正しいですから。私、ちょっと甘えすぎてますね?」



長野さんに笑みを見せれば、長野さんもパンを一気に口に放り込んだ。
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