社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「長嶺、大丈夫か?」


「はい、大丈夫です。」



隣の社長が心配そうな声で聞いてきたが、気分が良くなってきて気持ちも大きくなってきていた。



「まだ大丈夫です。社長は何かお代わりしますか?」


「ビールを。」



私は社長の隣から立ち上がり、座敷の外で店員に注文した。


ついでにお手洗いに行こうと座敷を出た。



「長嶺さん、大丈夫?」


「あっ、清水さん。ちゃんと挨拶してきましたよ。」


「大分飲んでない?」


「大丈夫です。仕事ですから。」


「飲みすぎ。もう席に戻ってきなさい。」


「わかりました。清水さん、一緒に飲みましょう。」



私はヘラヘラと笑えば溜め息を吐かれた。



「長嶺さん、案外、酒癖が悪いのね。」


「そんな事はないです。」



完璧に酔っぱらいの私を清水さんが苦笑いで見た。お手洗いから戻れば、長谷川さんが私の座っていた席に戻っていた。
< 23 / 240 >

この作品をシェア

pagetop