社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
「んんん………。」



私は肌に感じる温もりに擦り寄る。



「ん?」



温もりを手で触る。



『人肌?』



私は少しだけ閉じていた目を開いた。



「おはよう、長嶺。」


「…………えっ?ええ?」


「大丈夫か?」



私は勢いよく体をベッドの上に起こした。反動で頭が激しく痛んだ。


自分の頭を抱えれば、隣から聞こえてきた声に動きが止まった。



「………しゃ………ちょう?」


「昨夜の事を覚えてるか?」



私は痛む頭をフル回転させるが―――。



「覚えてません。」


「残念だ。甘い夜だったのに。」


「……………えっ?」


「だから甘い夜だったのに覚えてないのか?」



私は頭を抱えた。自分の体を見下ろせば………。



「きゃっ。」


「今更だろ。」



私は掛け布団を胸まで引き上げた。



『裸?いや、下着は着けてるし………、甘い夜?えっ、えっ、社長と?』
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