社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編
健人さんとはマンションの前で別れ、私は電車で通勤する。


朝から車通勤には抵抗があり、我が儘を通して朝だけは別々に出勤する。



「おはよう、花菜。」


「あゆみ、おはよう。」


「っで、誘ってくれた?」



小声で話すあゆみをチラリと見る。目が訴えているのがわかる。



「ごめん、昨日は疲れてて。」


「ああ~、そっか。花菜、宜しくね。」


「はいはい。」



あゆみと一緒に会社に向かう。



「あゆみ、一つ聞いていい?」


「ん?何?」


「あゆみは尽くしてくれる彼氏と付き合った事ある?」


「尽くす?」


「そう。一緒にいて、ご飯も作ってくれたり、髪とかも乾かしてくれるし。何でも尽くしてくれる彼氏。」



あゆみが考え込んでいる姿を見つめる。



「ん~、ないかな。社長の事?」


「そう。」


「よっぽど花菜が好きなんじゃない?」



あゆみがニヤニヤとして見てくる。
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