わたしは一生に一度の恋をしました
「そうやって自分で自分を責めるのは良くないよ」

 わたしは三島さんの言葉に頷いたものの、受け入れられなかった。

「黙っていたけど、昨日の夜中、由紀が来た」

 わたしは驚き、三島さんを見た。

「お前のことをどう思っているのか聞かれたから、素直に答えた。好きだって。そしたら幸せにと言って帰っていった。あのときから様子がおかしかったような気がする」

 わたしは初めて三島さんの気持ちを知った。それもこんな形で聞かされるなんて。嬉しい気持ちと共に、由紀に対して申し訳ない気持ちになった。

 どちらにしてもわたしに原因があることが間違いない。
 謝ってすむとは思わないが、いてもたってもいられなかった。

「見舞いに行きたい」
「俺も行ってみようと思う。一緒に行く?」

 わたしは三島さんの申し出に深く考えずに頷いた。

 電話は真一からで、由紀さんはそのまま病院に入院しているらしい。
 怪我はひどくないが、彼女の精神的な面を考慮してとのことだった。
 千恵子さんには何も言わずに家を出ることにした。彼女には三島さんが怪我の状況を把握してから、後から説明をすると言っていた。
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