わたしは一生に一度の恋をしました
「由紀」
真一が由紀の腕を掴んだ。だが、由紀は真一の腕を振り払った。
「わたしから将やお父さんを取らないで。わたしだって、わたしの家族だって後ろ指さされてきたわ。あなたたちだけが辛い思いをしてきたわけではないのよ」
「もうやめろよ。由紀」
「何でこんな女を庇うの? この女が居たからわたしたちは不幸になったのよ。お父さんだって離婚話など切り出さなかったはずでしょう? あなたはやっぱり双子の姉よりもこんな女のほうが大事なのね」
その言葉に真一が顔を引きつらせた。
離婚という言葉を聞き、わたしは高宮の一緒に暮らそうという話を思い出していた。
断わり、わたしの中では終わった話だった。だが、そうではなかったのだ。
「もうここから出て行って。あなたが出て行かないならわたしが居なくなる」
わたしは首を横に振った。
「邪魔してごめんさない。お大事に」
わたしは踵を返し、部屋から出ようとした。そのとき、部屋の前で三島さんとはちあわせをした。彼はわたしの手を掴み、わたしの顔を覗き込む。
わたしは三島さんから目を逸らすと、首を横に振った。彼に伝わったかは分からないがごめんね、の意味を込めたつもりだった。
三島さんは何も言わずに、わたしの手を離した。
わたしは病室を出ると、早足で病院の外に出た。少しでもこの病院から離れたかった。
真一が由紀の腕を掴んだ。だが、由紀は真一の腕を振り払った。
「わたしから将やお父さんを取らないで。わたしだって、わたしの家族だって後ろ指さされてきたわ。あなたたちだけが辛い思いをしてきたわけではないのよ」
「もうやめろよ。由紀」
「何でこんな女を庇うの? この女が居たからわたしたちは不幸になったのよ。お父さんだって離婚話など切り出さなかったはずでしょう? あなたはやっぱり双子の姉よりもこんな女のほうが大事なのね」
その言葉に真一が顔を引きつらせた。
離婚という言葉を聞き、わたしは高宮の一緒に暮らそうという話を思い出していた。
断わり、わたしの中では終わった話だった。だが、そうではなかったのだ。
「もうここから出て行って。あなたが出て行かないならわたしが居なくなる」
わたしは首を横に振った。
「邪魔してごめんさない。お大事に」
わたしは踵を返し、部屋から出ようとした。そのとき、部屋の前で三島さんとはちあわせをした。彼はわたしの手を掴み、わたしの顔を覗き込む。
わたしは三島さんから目を逸らすと、首を横に振った。彼に伝わったかは分からないがごめんね、の意味を込めたつもりだった。
三島さんは何も言わずに、わたしの手を離した。
わたしは病室を出ると、早足で病院の外に出た。少しでもこの病院から離れたかった。