わたしは一生に一度の恋をしました
 だから、彼は一緒に行こうと言い出したのだろう。
 わたしはある意味納得してしまった。

「大丈夫。この半年間で結構鍛えられた。真一は大丈夫なの? わたしと違って毎日学校に行かないといけないのに」

「僕は平気。家のこととかで陰口は慣れているし。いずれ知ると思うから言っておくけど、僕がほのかに振られたことにもなっているみたいだから。その辺頭に入れておいたほうがいいかも」

 わたしは真一の言葉に耳を疑った。

「そうなの?」

 真一は苦笑いを浮かべていた。

「双子で揃って告白して振られたってなっているから。別にどうでもいいから放置しておいたのだけど。下手に否定すると話が大きくなるだけだと思って。でもそれが逆効果だったみたい。ほのかが親父の子という噂はまだ流れていないみたいだから平気だとは思うけど」

 自分の家のことでも大変なのに人のことまで気を遣うのは真一らしいが、気がかりでもあった。

「ごめんね」
「謝るなよ。ほのかのせいではないだろう?」

 真一は明るい表情で笑っていた。
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