わたしは一生に一度の恋をしました
「最低」

 わたしは鞄を手に教室を飛び出した。あまり馴染むことが出来なかった学校だったが、それでもあまり休まずにやって来たのは三島さんが傍に居てくれたからだったと改めて実感する。

 学校の外に出て、人気のない場所まで来た時、目元に熱いものがこみ上げてきた。

「こんな町に来なきゃよかった」

 わたしは唇を噛みしめていた。



 家に帰ると、おばあちゃんは驚いたように目を見張った。

 出て行って一時間も立たないうちに帰ってきたのだから当然だ。

「やっぱり学校は行かないことにした」

 彼女は小さく声を漏らす。

「行かなくていいんだよ。行きたくないのなら」

 わたしは彼女の優しい気持ちを感じ取り、唇を噛むと、頷いた。

 そのまま部屋に戻ると、声を漏らさないようにしてただ泣いていたのだ。

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