わたしは一生に一度の恋をしました
最初で最後の告白
 わたしは大学の合格通知を受け取った。喜ぶのもつかの間、学校の入学手続きを済ませた。それから新しい家も決め、引越しの準備に取り掛かることになった。忙しい日々に追われながらも、幾度となく三島さんのことが頭を過ぎるが、そのたびの首を振っていた。もう気にしても仕方ないことは分かっていたのだ。

 本棚の本を段ボールにつめたとき、携帯が音楽を奏でる。そして、液晶に表示された名前を見て、思わず両手でつかむ。そこに表示されていたのは三島さんの名前だったのだ。

 何度か深呼吸をしたあと、はやる気持ちをおさえるように、ゆっくりと通話ボタンを押した。

 電話口から驚きの声が漏れた。

 その小さなかすれ声を聞くだけで、胸の奥が締め付けられたように苦しくなっていった。

 わたしは涙を堪えるために、唇を噛んだ。

「久しぶり」

「そうだね」

 三島さんの言葉に、やっとの思いで返答する。

 彼の次の言葉が聞こえるまでの数秒が何倍にも長い時間に感じていた。

「合格おめでとう。真一から聞いた」
「ありがとう」
「もう準備はすんだ?」

 わたしは返事をした。
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