わたしは一生に一度の恋をしました
 結果的に彼らが幸せでも、一家の関係を壊したのはわたしだ。人を不幸にしてしまったわたしが幸せになることなどできない。それに三島さんが今でもわたしを思っているという確証があるわけでもないのだから。

「多分、あいつはまだほのかのことを思っているよ」

 わたしはその言葉に驚き、真一を見た。

 真一はわたしと目が合うと、肩をすくめた。

「由紀と一緒にいたのもあいつなりの義務感だったと思う。今でもあいつは一人だよ。ほのかに会える日を待っているのだと思う」

 わたしは真一の言葉にどう反応して良いのか分からなかった。

 その気持ちに気付いているのかいないのか分からないが、真一はクスッと笑っていた。

「二人して生真面目というか、頑固というか。そんなに人のことばかり考えていたら身が持たないよ」

 真一は呆れたように笑った。

 三島さんにも同じことを聞いたのかもしれない。

「そうかもしれないね。でも考えを変えるのは難しいよ。一度自分を甘やかしたら、ずっと甘えてしまいそうな気がする」

「一人で今まで頑張ってきたから、か」

 わたしは真一の言葉に頷く。

「厳密に言うと一人で頑張ってきたとは言えないけれど、わたしなりに頑張ってきた。だから大丈夫」

「ほのかの大丈夫は大丈夫じゃないって言っているように聞こえるよ」


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