わたしは一生に一度の恋をしました
 母親の腕の下には何枚かの写真に手紙、その上に重ねるようにして母親の字で書かれた手紙があった。

 わたしは写真を一枚抜き取り、写真を眺めた。そこには四人の人が被写体となっており、母親と同じくらいの男女と、その子供と思われる男の子と女の子の写真だった。わたしと同じくらいの年だろう。

 その子供は顔立ちが良く似ており、双子か良く似た兄弟だった。わたしは眠っている母親に目を向けた。目元には薄っすらと涙が浮かんでいる。その母親の涙を見て、わたしの胸が鈍い痛みを感じていた。

母はこの写真を見ていて泣いていたのだろうか。

 母親の友達なのだろうか。わたしはこの人たちに一度も会ったこともない。だから、それが誰か分からなかった。
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